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東新宿駅

 2000年にできたばかりの東新宿駅は、いわゆる新宿の駅として有名なJR新宿駅、地下鉄新宿三丁目駅などに比べれば、まだまだ知名度は低い。ただこれまでアクセスが不便だった新宿屈指の繁華街・歌舞伎町近隣に開通した意味は大きく、現在は副都心線も乗り入れ、利便性はさらに向上。今後新宿の駅のひとつとして存在感を増すことは間違いない。
 駅を降りた職安通り一帯は、新宿の中心地に比べれば少々おとなしめの印象。ただ、一歩歌舞伎町方面に足を踏み入れれば、きらびやかな大人の街並に圧倒される。そしてその中には、実は隠れたこだわりの飲食店が多数。一方職安通りの向こう側はコリアンタウン・大久保。本場仕込みの韓国のソウルフード達が待っている。

無門新宿
無門新宿

脂の甘さ、身の柔らかさ。
南国の肉食文化は贅沢の極み。


 黒豚と言えば、南国・鹿児島の肉食文化の象徴。それを、しゃぶしゃぶを中心に多彩に味あわせてくれるというこのお店。黒豚以外にもさまざまなメニューを展開するが、やはりまずは黒豚づくしといきたいところ。

 まず支配人の細川さんが出されたのは、しゃぶしゃぶと並ぶ看板メニュー・黒豚角煮。これまで体験したことのない脂の甘さ、柔らかさ、そして芳醇な豚のコクが口一杯に広がる。しかも後口はさっぱり、脂っこさは微塵も感じない。さぞかし豚の質が良いのだろうなあ。添えられた半熟卵との相性は、言うまでもなく、最高。「この角煮を使ったシュウマイも提供しております」(細川さん)。これまた角煮ならではの旨味が濃縮しながら、蒸してあるためにさっぱり。

 次に出て来たのは、黒豚せいろ蒸し。「あっさりと豚を味わう点では、せいろ蒸しが一番だと思います」。余計な脂が抜けているおかげで、豚の旨味が一層際立つ。また共に頂く特製の山葵おろしだれが豚の味わいにピッタリ! さっぱりしていていくらでも食べられそう。
 
 そしていよいよ主役のしゃぶしゃぶ登場。日本酒とコラーゲン入りのだしスープにくぐらせて口に運ぶと…これぞ黒豚料理の極み。黒豚に濃縮する脂、身の旨味がシンプルに、ストレートに味わえた。タレは前出の山葵おろしだれとそばつゆの二種。どちらも豚の旨味を最高に引き立てるけれど、酒好きの私としては、前者に軍配ですな。

 ちなみにこの日料理と共にいただいたお酒は芋焼酎「くじらのボトル」。芋ながらさっぱりしていて、黒豚の脂の甘み、うまみとベストマッチ。「そういえば、この焼酎は黒豚と同じ鹿児島出身ですね」(細川さん)。納得! 同郷同士、気が合う訳だ。

黒豚しゃぶ・旬懐石ダイニング 無門新宿
東京都新宿区歌舞伎町2-25-6 永和第6ビル
03-5272-1200
17:00~23:00(ラストオーダーは22:30) 日祝休
http://r.gnavi.co.jp/g014704/

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新宿 おかずや

どんな人でも優しく迎える
奄美の家庭料理達


  「うちの料理は郷土料理ではなく、奄美の家庭料理なんです」。店長・小村さんの実家は、奄美の惣菜店。その味をほぼそのまま、この店で提供しているという。「むっちゃん(=小村さん)の料理は、奄美で普通に食べていたもの。ほっとします」。偶然来店していた幼なじみの美奈さんも、その味に太鼓判を押す。

 初体験の奄美料理。まず出て来た鶏とシブリ(冬瓜)の煮物は、ガラスープをベースに塩味でさっと煮たもの。鶏はほろほろに柔らかく、冬瓜は鶏の旨味をたっぷり吸って滋味深い。

 次に豚骨煮。一見豚角煮だが、肉に軟骨がついており、見た目ほど味付けは濃くなく、豚の味をくっきりと味わえたように思える。「奄美では軟骨付きが普通。東京では探すのに苦労します」。しかし肉料理が続いたが、どちらもさっぱりしているためしつこくなく、いくら食べても飽きない。

 続いて奄美の主食系。油ぞうめんは、そうめんをポークランチョンミート(スパムのような肉の缶詰)と野菜で炒めたもの。油が染み込みそうめんながら腹持ち良さそう。

 そして奄美の代表料理、鶏飯。鶏肉、錦糸卵、シイタケの煮付けなどがご飯に乗り、だしがかかる。「鶏飯は手間がかかるので、お祝いじゃないと食べられません。だから給食で出てくるとみんな大喜び(美奈さん)」。各具材はしっかりとした味つけが、だしに包み込まれることで、何とも優しくまとまる。祝う人の愛情が、凝縮したような味であった。

 「シマ(奄美のこと)の人はとにかくおせっかい(笑い)。初対面の人でももてなさないと気が済まない(美奈さん)」。美奈さんの温かなもてなし(おせっかい?)、小村さんの優しい味。気がつけば二人の幼なじみになったかのように、取材を忘れ食事を楽しんでしまった。

新宿 おかずや
東京都新宿区歌舞伎町2-38-8 八汐会館2階
03-3203-3106
18:00~6:00 日休
http://r.gnavi.co.jp/p463603/

新宿 おかずや
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地鶏ばやし
地鶏ばやし

レア状の焼き加減が絶妙

本場の味、鶏骨付きもも焼き

 

 東国原知事のPR効果もあり、今や宮崎県の郷土食としてすっかり定着した地鶏のもも焼き。しかし新宿で十年、鶏骨付きもも焼きを出し続ける店主・中林さんは、少し申し訳なさそうに実情を語る。 「現在東京で宮崎の地鶏とされているものと、昔から宮崎でもも焼きとして食べられていた鶏とは、ちょっと違います。本来のもも焼きはもっと噛みごたえがあるんです」。

 実際食してみると、確かにかなりの噛みごたえ。と言っても決して堅い訳ではなく、健やかに育った鶏の持つ適度な弾力も感じることができ、食感の二重奏が心地よい。「宮崎出身のお客様も、当店のもも焼きを食べて『これだよね』とおっしゃられます」。おそらくレア状態の焼き加減のため、堅くなりすぎないのであろう。そしてこの火加減が、鶏の脂や身に詰まった旨味をジューシーに引き出すこと! 焼く際に出る煙で燻された炭の香りがまた絶妙なアクセントとなり、芋焼酎が進む進む。「この味が癖になるようで、一回目より二回目、二回目より三回目が美味しいとおっしゃるお客様もいます」。

 もっと鶏の新鮮な味わいを楽しみたければ、もも焼きと並ぶ看板メニュー地鶏たたきをご賞味あれ。言うまでもなくこちらも、芋焼酎との相性は最高です。

 もうひとつの看板メニューチキン南蛮は、ふんわりと揚げられた鶏と、マスタードが強めに利いたタルタルソースが合わさり、何とも優しく素直な味。焼酎よりもご飯が欲しい! とイラストレーター・河合氏。「当店の料理は基本的にこの三種。少ないかもしれませんが、私が宮崎の味として自信を持って出せる三品です」。

 ちなみに姉妹店の歌舞伎町店ではもう少し料理にバリエーションがあるらしいので、そちらも覚えておこう。

地鶏ばやし
東京都新宿区新宿2-12-12
03-3356-0980
17:30~23:00 日祝休
http://r.gnavi.co.jp/g296300/

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illustration by Hiroshi Kawai, text by Jun Tanefuji
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