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門前仲町駅

  深川と言えば、東京の下町を代表する場所のひとつ。深川不動尊、富岡八幡宮など、当時をしのばせる名所が各所に点在。それに加え月3回開かれる縁日や、江戸三大祭りのひとつと言われる「深川八幡祭り」、そしてお不動様への初詣などイベントも盛りだくさん。いつも多くの人が行き交い、今日も一帯は大にぎわい。門前仲町の駅を降りれば、その楽しげな雰囲気をすぐに感じることができるはず。

 かつて深川は隅田川の河口に位置し、あさり漁が盛んに行われていた。豊富に獲れたあさりを味噌汁にし、漁師がごはんにぶっかける「深川めし」。今では東京の代表的な郷土食として息づく。素朴だけど、しみじみと伝わる深い味わい。これ、下町情緒に似ている?

門前茶屋
門前茶屋

いい食材を求める探究心が
30年続く深川の味を支える


  深川の郷土食材・あさり。その伝統の味を守り続けて30年の門前茶屋。今も多くの人が訪れてやまない老舗である。ただ営業本部長であり二代目の飯島さんは、名物食材について聞くと、遠慮がちにこう答える。「深川であさりが有名な理由…まあ昔はたくさんこの辺で獲れたんですよ。それが自然に名物になった、ということで」。

 深川にとっては日常の食材。そもそも郷土料理「深川丼」※も、漁師があさりの味噌汁をご飯にかけたのが発祥と言われる。「創業時、私の父も地元の食材としてあさりを打ち出そうとしましたが、日常食の深川丼をそのまま出すのには抵抗があった。それよりももっと美味しくあさりを食べられる方法がないかと研究し、名物の『深川あさり蒸籠飯』ができたんです」。

 あさり料理は他にも、あっさりとした風味が日本酒にぴったりの「あさりの酒蒸し」、ほっこりと温まる「深川あさり鍋」とあるが、やはり『深川あさり蒸籠飯』の人気が高いとか。「これをつまみに酒を飲むお客さんも多いです」(飯島さん)。ふんわりとしたあさりの食感、鮮烈な香り、そして奥深い味わい。気がつけばどんどん口に運んでいた。また飯島さんの言葉通り、日本酒が進みます。

 残念ながら今は深川、あさりが採れる場所もなく、店で使用するあさりは日本各地から直送。ただ旬の最上のあさりを求める姿勢は徹底。あさり以外の食材も、飯島さんが納得したもののみを厳選。「深川あさり鍋」に入る野菜も、味が濃密でビックリ!「常にいい食材は探していますね。最近では千葉で…」。取材も忘れ、食材談義に花が咲く。この探究心が、30年の老舗を今も支えているのだろう。

※「深川丼」は門前茶屋では販売していません

門前茶屋
東京都江東区富岡1-5-1
03-3641-0660
11:30~14:00 17:00~23:00(金曜は~23:30) 12/31休
http://r.gnavi.co.jp/g075101/

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こぞう

各地の郷土料理を独自のスタイルで提供

その充実ぶりは【こぞう】などと呼べません


  「老舗の多いこの一帯では駆け出しということで、【こぞう】という店名をつけました」(代表取締役の川村さん)。全国の郷土料理を提供するこの店。代表するメニューのひとつが、鶏肉を野菜と共に鉄板で炒めて食す、岐阜県益田・飛騨地方の郷土料理「けいちゃん焼き」。 「なぜけいちゃん焼きかと言われると… 大勢でわいわい食べられる料理を探していたら、これが最適だなと。その点では鍋も当てはまりますが、季節が冬に限定される。けいちゃん焼きなら、夏でも食べられますしね」。

 鉄板にこんもりもられた鶏肉と、キャベツ、たまねぎ、きのこなどの野菜たちがどっさり。川村さん直々に手際よく炒めていただき、実食。鶏肉はしっかりと噛みごたえがありながらも、脂っこくなくさっぱりとした味わい。こくのある醤油ダレとも相性よく、野菜と共に頂くとまた格別。いくらでも食べれそうだ。「鶏肉は一度下ゆでしています。その方が火がしっかり通って、しかも肉が固くならないんです。部位はモモ、砂肝、ボンジリ、皮と4種を入れてありますので、その味わいの違いも感じてもらえれば」。

 これは酒が合うなあ…と想像している私を察知してか、店長の武田さんがオリジナル芋焼酎「こぞう」をロックにて提供。遠慮なくグビリ。想像、正解!「ご当地では味噌味らしいですが、うちは醤油味も。こぞうオリジナルのけいちゃん焼きです。他の料理も、あまりご当地を意識せず、安くてボリュームがあって、みんなでおいしく食べられるものとして提供するようにしています」。

 オープンから6年、常に各地の料理を探し、この店のスタイルに仕上げ、メニューに加えて来た。その充実ぶりを見れば、もう【こぞう】ではないのは明らかである。

創作・郷土料理 和憩団欒房 KOZOU
東京都江東区門前仲町2-2-4 2F
03-3630-2865
17:00~24:00
(土曜は~23:00、ラストオーダーは閉店1時間前)
日祝休
http://r.gnavi.co.jp/g989601/

こぞう
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深川浜
深川浜

また来たくなる味わい、そして人。
深川で飲み食いする最高の贅沢。


  この店の看板メニューである、深川を代表する二大料理「深川丼」と「深川めし」。「深川丼」はご飯に味噌で味付けしたあさり汁をぶっかけたもの。「深川めし」はあさりの炊き込みご飯。

 「百聞は一見に如かず。まずは食べてみてよ」と社長の小川さんに勧められるまま、とにかく頂いてみたが、味が対照的なのにびっくり。「深川めし」はさっぱりとしたダシでふっくらと炊かれ、シンプルなあさりの旨味が際立つ。一方「深川丼」は、味噌のコクがあさりのうまみに一層深みを与え、濃厚かつ奥行きある味わい。「特に深川丼は飲んだ後には最高。飯抜きで頼むお客もいる。そういえば酒、飲めるよね?」と返答する間もなくおちょこと日本酒が。福島の名酒・飛露喜。香り高いうまくちの酒をぐびりといただき、しばらくすると…不思議と「深川丼」の味が恋しくなる。そして実際ほおばると、確かに最高!

 「深川丼」と「深川めし」。その主役であるあさりには常に気を配る、と小川さん。その季節の最上の国産あさりを、現地から毎日直送。そこに多様な食の経験をして来た小川さん独自の細やかな仕事が施され、最上の深川の味わいとして完成する。「深川丼には八丁味噌を使ったり、具ににんじんや油揚げなどを使ったり、他にはない工夫をしている。うちだけの深川丼。だから飲んだ後に最高なんだ(笑い)」。

 料理が美味しいのは当たり前。それ以上に大切なのは店で働く人だと、小川さんは力説する。「お客さんは店員とのコミュニケーションを楽しみにお店に来る。だから俺たちはお客さんが会いたいと思える人間じゃなきゃならない」。料理も、人も、また来たくなる味わい。これぞ深川で飲み食いする醍醐味、かもしれない。

深川浜
東京都江東区富岡1-8-6 井関ビル1F
03-3642-9654
11:30~14:00 17:00~23:00(土・日・祝は11:30~22:30、ラストオーダーは閉店30分前) 年中無休
http://r.gnavi.co.jp/a868901/

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illustration by Hiroshi Kawai, text by Jun Tanefuji
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