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六本木駅

 六本木ヒルズや東京ミッドタウンが似合う先端の街。気鋭のアーティストが集う芸術の街。国内外から人々が集う観光の街。多様な国籍の人々が羽を伸ばせる外国人の街。時間を忘れ大人達が楽しむ歓楽の街--六本木という街は、さまざまな顔を持つ。それもそのはず、歴史をひもとくと、江戸時代は武家屋敷群、明治期にはお屋敷町、戦中は軍部が闊歩し、戦後はアメリカ軍が街を形成。そして日本の復興と共に、若者達が独自の文化を作り上げ、今に至る。これだけ濃密に街が変遷したら、多様になるのも無理はない。さて、あなたにとっての六本木は、どの顔?  あ、もうひとつ街の特徴が。こだわり派が多い街。そのためか質の高い飲食店が多数。無論郷土料理店も、その中に入っています。

六根
六根

おでんだからこそ感じられる、
京料理のやさしい美味しさ。


 京風おでん? おでんと言えば東京か、関西、最近流行りの静岡のイメージが。でも京都にもおでんの文化はしっかりとあるとのこと。「20年前からこの場所で京おでんを提供しています」(店長の古澤さん)。しかも懐石風。果たしてどんなおでんなのか。

 食材ごとに一皿一皿おでんを出すのが、六根流。この日は「大根のおでん」「牛すじのおでん」「九条ネギおでん」の三種を用意いただいた。大根はまるで水分全てがだしのようにあふれだすうまみ。とろろ昆布がその風味を絶妙に引き立てる。一方牛すじはこくがあり濃厚! 九条ネギは特有の香りを活かしながら、ネギとダシの渾然一体となったやさしい味わい。同じおでんなのに別の料理のような個性。何でも食材ごとに煮方を変えているのだとか。「大根のおでんは、計3日かかります。一日目に水に浸し、二日目にダシで煮て一旦冷まし、三日目再びダシを含ませます。こうすることで大根にしっかりとダシが染み込むのです」。おでんながらずいぶん丁寧なお仕事。まさに京風。おでんというシンプルな料理だからこそ、京料理の文化がより明瞭に感じられるのかもしれない。

 ちなみにお酒は焼酎、日本酒、ワイン、竹酒と多数用意。「おでんと共に味わってもらいたいので、個人的には純米吟醸をお勧めしています」(古澤さん)と持って来てくれたのは、全国各地の銘酒と呼ばれる品々。確かにこの店の繊細なおでんの味わいを殺さず、上手に引き立ててくれた。いいお酒には、それだけの力があるんですね。

六根
東京都港区西麻布3-17-25 TKビル B1・B2
03-3405-6950 
17:00~翌4:00(日・祝は~23:00) 年中無休(12/31~1/2休業)
http://www.oc-t.jp/

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倭玄

全国の郷土食材を揃えるからこそ
より多くの人に食自慢してもらえる。


 郷土料理店というと、ひとつの地域に特化して料理を提供しそうなものだが、ここ倭玄は北は北海道から、南は沖縄まで、あえて全国各地を扱う。それがより多くのお客様に喜んでもらえる要因だと、店長・町田さんは語る。「いろいろな地域の食を提供しているからこそ、どの地域出身のお客様でも『この食材はうちの地方にしかなくてね…』と地元の食自慢ができる。同時に他県の食に興味を持っていただくきっかけもできますしね」。全国と言えど、食材はどれもこだわりの産地直送のものばかり。だからこそ、地元の自慢話にも花が咲くのだろう。

 この日出していただいた料理は、まさしく全国各地の食。信州地方ではスタンダードなきのこ「りこぼう」のしょうゆ漬け、千葉の漁師料理「なめろう」、鳥取の地元ブランド豚「トトリコ豚」、白身魚を唐辛子醤油で漬けたネタを握った八丈島の「べっこう寿司」。地元食材ならではの力強さが感じられつつ、丁寧な仕事振りが伺え、味わいは上品。さすがです。「まだまだ各地を開拓している最中。今は高知に注目しています」。

 おそらく行くたびに、この店は変化していくのだろう。そして…どの料理も日本酒が合いそうですよね?「日本酒も全国各地のものを揃えています。とっておきのを試します?」そして出てきたのは、知る人ぞ知る幻の名酒「飛露喜」。芳醇な飲み口と透き通るような味わい。単独で飲んでもうまいが、また郷土食材とも合う! 他にも興味をそそられる日本酒が多数…皆さん飲み過ぎにはご注意を。

六本木 倭玄
東京都港区六本木3-11-10ココ六本木ビル2F
03-5770-8785
月~土 18:00~翌4:30
ランチ(平日のみ) 11:45~15:00
日、連休の最終日 18:00~23:00
無休
http://www.ebisu-wagen.jp/

倭玄
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88屋(はちはちや)
88屋(はちはちや)

豊富かつ良質な食材をやさしく仕上げる。
四国の食に、郷土料理の神髄を見た。


 取材に応じてくれた店主の水谷さんは、香川の郷土食「さぬきうどん」で育った、生粋の四国人。 「四国の食は本当にすばらしいです。四国は海も山もあり、食材は豊富。しかも同じ四国でも場所ごとに食材が多種多様。それに伴い料理も個性豊か。そしてどれも本当に美味しいんですよ。私の使命は日本全国、そして世界に四国の食の魅力を伝えることだと思っています」。

 そんな水谷さんの熱い四国愛を体感すべく、代表的な四国の郷土料理をいただくことに。まず、高知の王道・かつおのたたき。ここではわらで火を通し、しかも塩で食す。「本場高知では、わら焼きが基本。わらは直火で中まで火を通さないので、表面は焼けても中はレア。その豪快かつ繊細な味わいを、ぜひとも塩でシンプルに食してほしいんです」。滑らかに光る断面に見とれつつ、口に入れると、かつおの野性味溢れる香り、味わいが口一杯に! 塩だからこそよりくっきりその味が伝わってきました。

  続いてさぬきうどん。この日はぶっかけでいただいた。美しく光る白い一本を口に入れると、しっかりとしたコシがありながら、滑らかなのどごし。この心地よさ、今まで味わってきたさぬきうどんとは別物?「本当に美味しいさぬきうどんは、表面がきめ細かいんです。だから口当たりが良い」。次に愛媛の鯛めし。まさに鍋の中に、鯛のうまみが凝縮。全体的に味付けがやさしいので、うどんを食べた後でもさらりといただけてしまった。「四国の味付けは薄味が基本。だから食材の味をより味わえるのかもしれないですね」。

 そして最後に、讃岐もんじゃ。これ、郷土料理?「実は…うちのおばあちゃんが作ってくれた料理です」。きざんだうどんを混ぜた生地を鉄板で焼いたそれは、誰もが幼少期に味わったであろう、家庭のやさしさに満ちあふれていた。この味こそ、郷土料理の神髄なのかもしれないですね。

四国味遍路 88屋(はちはちや)
東京都港区六本木7-4-5 六本木稲垣ビル1F
03-3479-5788
11:30~15:00 17:30~24:00(日祝は11:30~22:00) 年中無休
http://www.88ya.net/ 

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illustration by Hiroshi Kawai, text by Jun Tanefuji
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